サザン解析

通常は再分化当代の種子を配布しています。Tos17は種子間で 分離しますので、ミュータントホモ個体を得るには、これらの種子から生 育させた植物からDNAを抽出し、サザン解析 で確認する必要があります。

ゲノム動態研で用いられているサザン解析の条件を以下に示しました ので参考にして下さい。

  1. イネのゲノミックDNAはCTAB法で調製し、 1レーン当たり500 ngをXbaIで消化する。
  2. 0.8%アガロースゲルで、ゲルの下端が1.5〜2 kbになるように泳動す る。マーカーには、λ/HindIIIを用い、コントロールに日本晴 /XbaIを1レーン泳動するのを忘れないようにする。明瞭な泳動像 を得るためには、λの2 kbのバンドがウェルから18〜20 cm程度泳動する 必要がある。
  3. 泳動後、ナイロンメンブラン(Hybond N+)にブロッティングし、フィ ルターに転写されたDNAを5分程度アルカリ変性する。フィルターを中和液 に漬けた後、2xSSCでよく洗って、タオルペーパーに挟んで余分なSSCを除 く。
  4. フィルターが湿った状態でUV照射を行い、80℃の乾燥器で2〜3時間の べーキングしてDNAを膜に固定してハイブリダイゼーションに使用する。
  5. プローブには、BLAST検索でヒットした部分の塩基配列からプライマー を作成して、PCRで増幅した断片を用いる。
  6. ハイブリダイゼーションは、32Pあるいは、アマシャムの GeneImageを用いている。

Tos17をプローブに用いたサザン

Tos17はレトロトランスポゾンですので、レトロトランスポゾン一 般に保存された場所をプローブに用いると、Tos17以外のレトロトラン スポゾンにもハイブリダイゼーションして、バンドの識別が困難になります。

Tos17gag領域を含む前半分の部分 (XbaI-BamHI断片)をプローブに用いるとTos17特異的な 明瞭なバンドが得られます。

以下のプライマーで、日本晴ゲノムDNAを増幅するとTos17特異的なプローブが得られます。必ず電気泳動で分離して、バンドを切り出し・精製してから使用して下さい。
プライマー名塩基配列
PA0131TGAAGCATCGGTCTCAGCTA
PA0132GTAGGTTGGGAGGGTTGTGA

ハイブリダイゼーション溶液の組成

0.5 Mリン酸ナトリウム, pH7.2
7%SDS
1 mMEDTA-2Na
200μg/ml変性仔牛胸腺DNA

作り方

  1. 仔牛胸腺DNA(SIGMA D-1501, 1g)一瓶のDNAを秤量する。仮に1.1gだとする と、110 mlのTE10-1の入ったフラスコにDNAを入れてオートクレー ブする。DNAが溶けたら、最大出力で1分程度ソニケーションして、DNAを短い 断片にする。この溶液を10 mg/mlストック溶液として、-20℃で保存する。
  2. ビーカーに、MiliQ水を600 ml程度入れる。 NaH2PO4・2H2O(FW = 156.01)を78gをビー カに移し溶解する。
  3. 別のビーカーに、MiliQ水を100 ml程度入れ、水酸化ナトリウム25gを溶解 しておく。
  4. リン酸ナトリウム溶液のpHを7程度になるまで、水酸化ナトリウム溶液を加える。
  5. 70gのSDSを2,3回に分けてリン酸ナトリウム溶液に加えて溶解する。
  6. EDTA-2Naを372 mg秤量して、リン酸ナトリウム溶液に加える。
  7. 変性仔牛胸腺DNAを20 ml加える。
  8. 残りの水酸化ナトリウム溶液で、pH7.2にあわせて、1lにメスアップする。
  9. 室温、あるいは42℃のインキューベータで保存する。滅菌に必要はない。

ハイブリダイゼーション

  1. Tos17プローブ用DNA溶液を25 ng/μlに調節してストック溶液とする。
  2. λ/HindIII溶液を0.5 ng/μlに調節してストック溶液とする。
  3. Megaprime DNA Labelling System, dCTP(Amersham, RPN1606)と、α- 32P dCTP (Amersham, AA0005, 3000 Ci/mmol)を用いて標識する。
    Tos17 Solution1〜2 μl
    λ/HindIII Solution1 μl
    Primer Solution5 μl
    H2O28 μl
    上記の溶液を混合して、沸騰水上で1〜2分変性させて、チューブを氷上に戻す。
  4. Labelling用のBuffer solutionを10 μlと、Klenow flagment溶液1 μlを チューブに加え、メンブランと一緒にRI実験室に持って行く。
  5. RI実験室でα-32P dCTPを加え、37℃でラベリング反応を行う。
  6. ポリシールバックにメンブラン1枚当たり20〜30 mlのハイブリダイゼーショ ン溶液を入れて、65℃でプレハイブリダイゼーションを1時間程度行う。枚数 が多い時は、タッパーでハイブリダイゼーションを行う。
  7. ラベリング反応が終ったら、MicroSpin S-200 HR Columns, pre-equilibrated in TE buffer(Amersham, 27-5120-01)で未反応のラベルを 除く。(3000 rpm, 1 min)
  8. プローブ溶液を沸騰水上で1分熱変性した後、ハイブリダイゼーション溶 液に加える。ハイブリダイゼーション溶液を交換する必要はない。
  9. 65℃で1晩ハイブリダイゼーションする。
  10. 55℃の2xSSCで、30〜1時間の洗浄を2回行う。
  11. 最後に、2xSSCで軽くすすいで、メンブランをサランラップで挟み込む。
  12. 増感紙を用いて、-80℃でオートラジオグラフィーを、1〜2日行う。
サザン解析結果の例はこちら
お問い合わせは、遺伝子機能研究チーム 宮尾 (miyao@affrc.go.jp)まで
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